利府トレイルの暫定ルートを歩き、より良い道へとブラッシュアップを図る取り組み。最終的にはルートの公式化を目指す中で行われる三回目の今回は、染殿神社から利府城址までを歩いた。
朝9時、赤沼公民館を出発。
赤沼の白鳥と挨拶を交わし、まず染殿神社にお参りに行った。
利府と松島をつなぐ利府街道を通り、まずは名古曽の関を目指す。車の横をずんずん歩くのは味気ないが、脇道の世界は別世界。春日地区の歴史の沼にどんどん嵌っていく。
それから、利府の水源と呼ばれる場所へ。溜め池から源流へと近づくにつれ、清流がゴボゴボと音を立てて流れてゆく。源流部は立ち入り禁止だが、あまりに心地よく、ずいぶんとここに滞在した。
水源を引き返し、街道に戻ってくるところで、畑仕事をしている人に出会った。一声かけると話が盛り上がり、自身で作っているドライフルーツをごちそうになった。冗談なしに梨のドライフルーツが最強。こんな思いがけない出会いがあるから、旅はやめられない。
なこその関の伝承地からは、惣の関ダム、鷹戸屋山に立ち寄り、利府城址を目指した。なこその関は、勿来関が福島県いわき市にあり有名だが、利府町内でも歴史研究が進んでいる。ソウノセキと言ったりナコソノセキと言ったりするが、それはソウがアイヌ語で滝、あるいは滝状のものを指し、ナコソが大和言葉であることに起因する。今でも惣と名古曽の二つの地名が残っているように、元からここに住みついていた人はソウノセキと呼び、中央から来た人はここをナコソのセキと呼んだのが、郷土史研究の大方の意見である。惣の関ダムは元々沢筋で、ここも沢底から水がボコボゴ湧いていたところだったと古老から聞いた。鷹戸屋山は、名前の由来になっているかは別にして、藩政時代伊達家藩主が鷹狩をしたことで有名だ。利府城址は、今は城址公園となり、憩いの場所となっている。
寄り道が多く、距離11km、時間にして6時間ほどのモニターとなった。実施後アンケートでは、今回の道の特徴は文化面で強く示された。また、環境面での活用も入り込んだのは、この地の水の豊かさから来るものだと思う。
車通りが多い所なので、歩行に中止しなければならず課題もあるが、寄り道を主体に歩いてみると、想像していた以上におもしろい場所だと思った。