9月29日(日)、菅谷という地域を歩くイベントを開催しました。
菅谷とその周辺には横穴墓群や穴薬師、不動尊、長者屋敷跡など、
奈良時代や平安時代を中心とした歴史スポットが点在しています。
また利府町教育委員会が調査した遺跡分布図においても
飛鳥・白鳳、奈良、平安時代(7~9世紀)
いわゆる律令制に志向し始めたころから、
その初期にかけての遺跡が多数見つかっています。
そのようなことから、この地域は律令制と関係の深い場所だったことを確認し、
それを「栖屋駅(すねやえき)」という駅家(うまや)をキーワードにひも解いてみました。
駅家というのは、律令時代に全国に敷いた高速道路網上に
一定の距離に置いた駅のことです。
駅家はただ馬を置いただけでなく、交通を管理する役所でした。
そこには、役人が執務する建物や偉い人を接待する建物、
食事をつくる御厨や食料を保管する倉庫、
もちろん馬を世話する厩舎などがありました。
下の写真は、兵庫県竜野市において報告された「布勢駅家」のイメージです。
異なる点もあると思いますが、おおよそこのような施設が菅谷(栖屋)にあったのです。
もちろん栖屋駅は遺構自体が見つかっていないので、
なかなか町民にも知られていないのですが、
このような歴史を知ると、菅谷を見る目も変わるのではないでしょうか。
当日は、利府町以外にも、
名取、多賀城からお越しの方がおられましたが、
利府町の歴史であっても、とても楽しんでおられました。
また「このコースはすごい!」と
感動してくださった方もおられました。
少しでも郷土の歴史が外に伝わり、
それだけでやってよかったと思えた瞬間でした。
私たちの意識はどうしても遠くの方に
すごいものがあるような幻想を抱いてしまうのですが、
こうして身近なものに目を向けても
面白い事実や宝物が転がっています。
これからも足元を見つめて
おもしろいイベントを作っていきたいです。