鳥獣被害対策を学びに色麻町へ

7月5日、色麻町で開かれた鳥獣被害対策に関する会合に参加してきました。私自身は全く無関係の立場にいるのですが、以前からお世話になっている野生生物対策アドバイザーの鈴木さんから、「トレイルとこの問題は関係が深い。今石井さんが取り組んでいることはきっとこの会合の出席者にとって役に立つから来てほしい」とお誘いを受けたのです。私自身としては、たしかに関係があるとは言え、全く畑の違う人物が、専門的な問題を扱っている会合で何かを話すというのは少し気が引けるところで、本当に大丈夫かと心配だったのですが、私の活動を知ってもらう機会でもありますし、普段知れない分野を知れる機会にもなるので、快く引き受けることにしました。

鳥獣被害の今

会合の出席者は以下の通りです。

  • 色麻町産業振興課の阿部さん
  • 同町地域おこし協力隊鳥獣対策支援員の長谷川さん
  • 山形県南陽市地域おこし協力隊の高橋さん
  • 同県天童市地域おこし協力隊の濱田さん
  • 同県上山市地域おこし協力隊の本多さん
  • 鳥獣被害対策アドバイザー兼コーディネータの鈴木さん

会合の主旨は、地域おこし協力隊4名による活動報告です。それぞれ違った地域で、どのような取り組みをしているか、お互いに学びながら研鑽し合おうというものでした。

地域おこし協力隊が各地の取り組みを紹介した

詳しく理解できたか分かりませんが、ワイヤーフェンスは随分効果を上げるようです。とにかく山から里に下りられないようにすること、農園を囲うこと、これが鳥獣被害を抑えるのにはいいようです。また休耕地の環境整備も喫緊の課題です。長年放置された土地はヤブが生い茂り、人の視界が入りにくくなると、簡単にタヌキなんかが住みつくそうです。こんな民家の近くに住みつくものなのかとびっくりしましたが、自然とはそういうものなのですね。それから、野生生物対策の三本柱、「捕獲」「防除」「環境整備」のうち、特に「環境整備」は覚えておこうと思いました。最もトレイルと関係するところでしょうから。

いろいろと話を聞く中で、東北において、この分野はずいぶん新しいもののようでした。宮城県では色麻町だけ、山形県では上記三市、福島県にもあるようですが、どれだけあるか聞いていません。さらに上の県となると、地域おこし協力隊を使ってこの問題に対処している例はないのではということで、言ってしまえば今回集まったメンバーが、宮城県と山形県の全員となります。東北においても、鳥獣被害がないところがないというぐらい問題になっているにもかかわらず、自治体主導で対策に当たっている例はずいぶん少ないのだなと勉強になりました。ちなみに、そうではない地域では、住民からお願いされたときにフェンスの張り方をアドバイスをしたり、フェンス代として補助金をつけたり、イノシシ何頭でいくらというような形で、あくまで獣害対策は住民の仕事として扱われているようです。獣害対策を地域全体の問題と認識するか、特定の業態に関わる問題とするかで、自治体の態度が変わるような気がしました。そんな中で、今回舞台となった色麻町はいち早くこれを地域問題として捉え、5年前にアドバイザーとして鈴木さんを登用、2年前からチイオコの長谷川さんを採用し、この問題に対して先進的に取り組んでいることが分かりました。

トレイルも獣害対策も地域おこし

さて、そんな中で私は、現在進行中の利府トレイルプロジェクトについて話してきました。サブタイトルには「自治と協働の試み」とつけました。トレイルというのは、私自身が地図上に線を引っ張っただけでは完成しません。道づくりから地元住民が加わり、どんな道にしたいか、どういったところを見てもらいたいか、そういった議論を積極的に行い、実際に歩いて改良を加え、地域を紹介するためのより良い道として設定します。そいういったプロセスを通して、住民は地域に愛着や誇りを持ち、外から来る人を心から受け入れる下地を持つのだと思います。トレイルプロジェクトとは、住民自治のプロジェクト自治意識醸成のプロジェクトなのです。きっと獣害対策も一緒でしょう。自治体や農家だけでなく、住民が自分事として捉え、地域全体で事に当たることが重要なのだと思います。もちろん、捕獲や防除は猟友会や農家の仕事でしょうから、環境整備の部分を住民が担うような仕組みになったら理想的なのではないでしょうか。私の発表がどれだけうまく行ったか分かりませんが、少しだけでも意図を汲み取ってもらえていたら嬉しいです。

どこまでピントを合わせて話せるかが難しかった

罠の設置体験

午後には地元猟銃会のメンバーと合流し、罠の解体と設置を体験してきました。今回扱った罠は、1m×2mぐらいの鉄柵が16枚あって、それを鉄杭やワイヤーなどで固定し囲いを作るタイプのものでした。絶対一人ではできないし、一つひとつが重いので体への負担もかかります。罠設置の大変さを知り、なかなか貴重な体験となりました。また、夜の懇親会も会合では聞けなかった野生生物の実情などを聞け、とても勉強になった一日となりました。皆様、ありがとうございました。

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