4.26㈯、長根街道を歩くイベントを開催しました。長根街道は、利府町と大和町小鶴沢を結ぶ街道です。歴史の深いこの道は、現在利府町の一部区間を「荒川ロード」と称する町民の散歩道として、また大和町では江戸時代の一里塚を観察しにいける林道として存在していますが、両町の間の一部区間は荒廃が激しく、これまで通行困難となっていました。私たちは昨年来、有志を集めこの街道の整備に努め、今年3月無事開通させることができました。そのときの整備の様子は全3回にわたってレポートにしていますので、ぜひお読みください。

26日のイベントは、この開通区間を通る利府町と大和町を往還するコースです。往復する道となるので魅力が半減し集客に苦労するかと思いましたが、当日までに定員いっぱいの20名にお申し込みいただきました。ガイドはこの道に詳しい利府町郷土史会代表の遠藤光行さんです。

長根街道のコースとしては利府のゴルフクラブ管理棟付近を今回の出発点とし、イベントを開始しました。しらかし台団地や仙台方面が望め、また仙塩病院辺りから続いている長根街道の尾根筋をよく観察できるビュースポットです。遠藤さんから、この場所が「座頭転ばし」「琵琶転ばし」と呼ばれるところだと教えていただきました。昔目の悪い人が足を踏み外し、崖に転げ落ちてしまったことが由来だそうです。

ここから開通区間に入っていきます。写真の通り、前は藪に覆われていたのが、今はきれいに歩けるようになっています。

遠藤さんからは、ところどころで樹木の説明もありました。子どもの頃雄勝で育った遠藤さんは、よく薪集めなどで山の中に入ったそうです。街道に見られる植物にも目を向けて歩きます。






しばらく歩くと、大和町の一里塚に着きました。江戸時代、街道沿いには一里(約4km)ごとに塚を築き、道の目印としていました。この道が頻繁に往来に使われていた証拠です。今や開発が進んだところでは一里塚を見つけられなくなっていますが、このように残っているのは非常に貴重です。

かつて「休場(やすば)」と呼ばれたところは現在ソーラパネルが敷かれていました。江戸時代、利府にはよく伊達藩主が鷹狩りに遊びにきました。大勢を引き連れてやってきたとき、ここで休んだことが名前の由来だそうです。


休場を過ぎると、丹勝ゴルフ場と支倉常長パークを結ぶ小鶴沢の道路に出ます。ここから道路を外れた、高台にある水田の脇を通り、石碑群を目指しました。道中、わらびに手が伸びました。


水田を抜けると、森の中に石碑群が現れました。馬頭観音や庚申塔のほか、巳待塔というあまり見かけない石碑もありました。遠藤さんによると、巳待塔は巳待の信仰に関係し、金運を願ったものだそうです。昔の人もお金がほしかったんですね。



石碑群を後にし、神明社へ向かいます。神明社は伊勢信仰が全国に広がる時に建てられた神社ですが、この小鶴沢社の創建は分かっていません。一方で、この辺りの山林一帯は小鶴沢館跡となっており、この神明社がある高台もまたその一部であると考えられるため、中世の頃は街道を抑える一種の関所のような役割を持っていたと考えられます。実際、城郭と街道は密接な関係を持っており、山城があるところに街道が通っているケースが多いようです。街道を歩くときの視点として持っていると、面白いですね。




ここを折り返し、一旦川沿いで休憩を挟んだのち、来た道を戻りました。
ところどころ歩きづらい所があったり、歩くペースが速かったり、多少課題が残りましたが、「いい道だねー」とか「整備大変だったでしょう」とか声をかけていただき、大変励みになりました。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
また季節を変えて、開催できればと思います。

次回は、5/25㈰ TRAIL & BAGELです。番ヶ森という利府で一番高い山(約210M)を登り、山頂でベーグルサンド(参加費込み)やコーヒー(有料)をいただく会です。20人枠を30人枠に増やして実施予定です。まだ募集していますので、ご興味のある方は、下記のリンクよりお申し込みください。