律令時代に整備された七道駅路のうち、東北に伸びていた道を東山道と言います。東山道はその名が示す通り「東の山道」で、都から東へ向かう二つの道のうち、山側を通る方を「東山道」と呼び、具体的には滋賀から始まり、岐阜、長野、群馬、栃木と通って福島から東北地方に入りました。反対に海側を通るのは「東海道」でした。元々大和政権の勢力が関東地方まで及んでいた時代は、東山道も東海道も関東を目指す道でしたが、勢力が東北地方まで拡大すると、「道の奥」である「みちのく」にも道が伸ばされ、東山道も東海道も東北地方に伸びたのです。東山道は白河関から内陸を通り今の盛岡付近にまで、東海道は今のいわき市から海側を通り、宮城県の岩沼市で東山道と合流しました。今の常磐線や国道6号線を思い浮かべればいいかもしれません。
さて、そんな東山道のうち、宮城県区間を一年以上かけて歩こうとしているのがこの取り組みです。県南の白石市越河から始め、一か月に一回歩き継ぎ、岩手県の一関に入ったところで終了です。長い旅ですが、昨年12月から始めた旅は、現在岩沼までやってきました。今回は岩沼の北長谷から名取の愛島を目指します。

スタート地点近くの北長谷公会堂には、いくつか石碑が建っていました。お地蔵さんが彫られた道標が目地らしくて思わず撮りました。道標部分は「左つきぬき(槻木)、右くまの(熊野)…」のように書いてあったと思います。
そこから、のどかな風景が続く路を歩いていくと、長谷寺のところに来ました。長谷寺は平安時代の武将源頼義(みなもとのよりよし)が前九年の戦に勝った折にお堂を建てたことが始まりとされているようです。今回は立ち寄りませんでしたが、時間があったら行ってみたいです。



さて、そうこうして金蛇水神社に着きました。金蛇水神社は、創建年代は不祥ですが、農耕のため水神を祀ったのが始まりとされています。それだけなら水神神社でよさそうですが、そこに金蛇とついたのは鉄と関連するエピソードがあるからのようです。
社名については、次のようにつたえられている。平安時代中頃一条天皇の御代*(986-1011)、京都三条の小鍛冶宗近(三条宗近)は、天皇の御佩刀(みはかし。貴族の刀の尊称)を鍛えよとの勅命を受け名水を求めて諸国を遍歴してこの地に至り、水神宮のほとりを流れる水の清らかさに心をうたれた。早速、水神宮に祈願をし、炉を構えて刀を鍛え始めたが、カエルの鳴き声で精神統一ができず、よい刀が打てずにいた。そこで宗近は巳のお姿をつくり、田に放ったところカエルはピタリと鳴き止んだ。無事素晴らしい刀を鍛え上げることができた宗近は神への感謝のために巳のお姿を献納し都に帰った。以来、水神宮ではこれを御神体と崇め、社名も金蛇水神社と称するようになったと言う。<金蛇水神社のHP「神社沿革」より> *()内は注記した

金蛇水神社は自分が知っている頃の神社とは様変わりし、ずいぶんにぎやかな神社になっていました。三条宗近がいたら、カエルじゃなく人間が邪魔だと言っているかもしれません。先を急ぎましょう。





とにかく今回歩いた道は、石碑群がいたるところにありました。途中、かわいいお店などもあって立ち寄りたいです。





この日は30度を超える暑さで、アスファルトの照り返しも強く、麺や碁飯で涼むついでに昼食休憩をとりました。冷やしラーメンを食べたかったですが、自分の前で食券が切れ、僕は熱々の味噌ラーメンを食べました。大河原から参加のWさんも味噌の大盛を頼みましたが、急に具合を悪くしあまり喉を通っていないようでした。でも、のちに愛島小学校付近にあるスーパーでソフトクリームを食べ、完全回復していました。


愛島小学校を通り抜け、次の丘に差し掛かるところで、笠島廃寺跡から佐倍之神社(さべのじんじゃ)へ抜けるルートを提案されたので、そちらへ行くことにしました。これが大正解でした。竹林が美しかったです。





この道祖神社は、日本武尊の東征の時からすでに由縁があり、ずいぶん古い神社のようです。祀られている神様の一柱が道案内の神様・猿田彦。平安時代、この神社の前を通り過ぎようとした実方中将がお参りをせず通り過ぎようとしたので、馬から落ち、その負傷がもとで亡くなったそうです。さて、その実方中将のお墓が今回の最終目的地。あと少しです。と、その前に、茶屋の藪椿で冷たいお茶をいただきましょう。


はい、着きました。奥に見える木で囲われたところがお墓です。どうもこのお墓がある名取には数多くの文人が訪れているようで、その名を列挙すると西行法師、松尾芭蕉、与謝蕪村、正岡子規…。時代を超えた実方中将のインフルエンサーぶりがうかがえます。



はい、ということで今回はここまで。今回からイベントにも参加してくださった仙台のFさんが初参加してくれました。毎月第3火曜日の開催で働いている人にはなかなか難しいスケジュールですが、一般参加型ですので、気になる人はぜひご参加ください。さすがに暑くなってきたの次回から9月ぐらいまでは、5kmぐらいを目安にして細かく区切りましょう。それでは!
登山-2025-06-17 / 利府トレイルプロモーションさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
↑最近ログがちゃんと取れないことが多いです。